2010年1月24日日曜日

天地明察

すげえ面白いいぃぃぃぃ! 歴史小説はなあ……正直全然興味ねえしなあなどと積みっぱなしにしててすいませんでした。冲方丁ぱねえ。というか、これシュピーゲルより好きだなあ。ヴェロシティと並んで(方向性は真逆もいいところですが)、この人の最高傑作っていってもいいかもしれない。

時代は江戸時代、1660年くらいか。主人公は渋川春海という人で、wikipediaによりますと江戸時代前期の天文暦学者、囲碁棋士、神道家。
なんとも多趣味多芸ですが、お家の仕事は棋士です。改名する前は二代目安井算哲が本名で、この安井という家は本因坊家、井上家、林家と並ぶ碁の家元なのですね。将軍の前で碁を打ったり、偉い人に指導碁したりする仕事(だと思います)。本因坊という名前はヒカルの碁に出て来たんで有名ですが、秀作の二百年くらい前の先祖の本因坊道作という人がいまして、春海はその人と大体同年代の碁打ちです。この道作も作中に登場しますが、この人は秀作が後聖、と呼ばれたのに対して前聖といわれる、史上最強の棋士の一人として名高い人(らしい)。
で、そういう有名な家の碁打ちなので春海も碁が大変強いのですが、しかし本人のほほんとした人柄で、いまいち碁には身が入らない。というか、数学大好き。碁は碁で嫌いじゃないけど、そろばん弾いてる時のほうがどきどきするし好きだなあ、などと思っています。
碁は退屈だ。自分は退屈でない勝負を欲している――という、そういう春海が辿り着いた勝負が日本独自の暦を作る、という事業。数術の問題に正解することを「明察」といいまして、地動説が知られるようになった世の中、暦を正しく作るするためには、地球を含めた星々の運行を極めて正確に計算する必要があるわけです。
二十二年、作中四百五十ページ以上をかけて彼が天地を明察することに挑む、というのが話の筋。燃える。めっさ燃える。

冲方丁本人がシュピーゲルを「最後のライトノベル」と称していて、天地明察はまあ、これはライトノベルではない、と思って書かれているっぽい。ライトノベルの定義というのは人それぞれあって、ストーリーラインの形式にそれを求める人もいれば挿絵に求める人もいるだろうし、文庫であること、が必要条件に入ることもあるでしょう。俺は後二つがわりと強いです。それっぽい表紙で挿絵があって文庫ならまあライトノベルじゃね? と思っているフシがある(だから「なんでラノベばかり読むん?」みたいな文脈がちょっと理解できないことがあったりするんですが)。だもんで、仮にこの天地明察がそういう装丁で出ていたとしたら、俺はきっとこれをライトノベルと見なしたのではないか、と思うのです。本質のわからん男ですね。
しかし冲方丁はライトノベルではない、としている。
この辺り、この冲方丁の考えるライトノベルの枠組みを意識しつつ読むと色々面白いなあと感じるところがあったので書こうと思ったのですが本日時間があんまりない。よし、また次のエントリで。

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